ポピュリズムとは何か? その1      (44 安田耕太郎)

成城大学で「成城 学びの森」講座全6回「The Rise of Populism  Across the Globe」を受講した。週一回 午後6時半〜8時の授業。面白かった。首から下はKWVのお陰で歳を重ねても動かし続けて健康であり、自然の素晴らしさを謳歌しつつ仲間とも楽しくやれてありがたい限りである。が、首から上即ち脳の働きについては自信がない、特に退職後(5年前 67歳で)は。興味があることで脳味噌と感性が刺激されれば良いのだが〜と常日頃思っていた。
そんな折、ジャイさんから「面白そうな講座があるので受けてみないか」とまたお誘いがあった。”また”とは、早稲田大学のオープン・カレッジ講座を紹介頂いて3年間ほど受講していたからである。受講したのは国際関係、歴史、美術に興味と関心を持っているので、統合と分裂の中近世ヨーロッパ史、じっくりジョルジュ・ド・ラツール、「現代ユダヤ」世界を知るための全10講、何処へ行く英国離脱後のEU,  英語で話す日本史。私もジャイさん同様語学に興味を持っていて、同じイタリア語会話学校に3年間通ったことがあった。
早稲田もイタリア語学校も単独で他人に混じっての受講であったが、成城ではなんとふたり席を並べることとなった!英国人教師による英語での授業でワンダー先輩後輩が英語で会話を交わす光景なんてえのは摩訶不思議でもあるし、おたがい面映ゆかった。生徒は20名前後の若くても50歳位で男女半々。女性の方は留学経験や夫の海外赴任で英語や国際問題に関心があると見受けられ、男性は既に退職した人が大多数。なかなか老人パワーと覇気はさるものと感じた。
講座は今話題の「世界における台頭するポピュリズム」がテーマで、週一か国ずつ合計6か国、EU離脱を国民投票で選択したイギリス、America Firstのトランプのアメリカ、故チャベス大統領のヴェネズエラ、ドゥテルテのフィリピン、右傾化が目立つポーランドとハンガリー、そして安倍一強体制の日本である。隠れた梁山泊のような存在で、影で政権を支える或いは誘導さえしているかのような“日本会議”の活動と影響力については認識を新たにした。安倍首相は勿論のこと国会議員の半数以上がメンバーという事実にはいささか驚いた。「目から鱗」が多々あり面白かった。
教材は講師自ら25ページ程の小冊子風を用意して前週に配布、予習をする。教材中の難しい語彙は抽出されて、訳がプリント最後部にまとめて付されている。訳を参照せねばとても理解出来ない語彙が多い。教材は教室内のビデオで流される。多数の質問がプリントに記載されていてまず3〜4人の小グループで(日本語英語チャンポン)で討論して、解答を先生が各生徒に一人ずつ英語で発表させながら全員で討論する進め方。あっという間に1時間半が過ぎる。
講師は英文学専攻で専門分野ではない上に授業時間も短く、テーマを掘り下げるというよりは、その価値はまず生きた英語で授業、質疑応答を行うこと、興味あるテーマを学ぶ面白さ。そして一方通行受身の学校授業と違い自己参画型の程良い緊張がもたらす活性感があった。
台頭するポピュリズム或いはポピュリストは概念的にnationalism/nationalist(民族主義者)、right-wing(右翼)、authoritarian (権威主義者)、patoriot (愛国主義者)、dictator (独裁者)などと鮮明な区別が付けにくい面もあって結構厄介な言葉だが、今日、世界の混沌とした潮流の中で最も旬な政治的な言葉について6ヶ国を例に取り学べたのは有意義であった。同じ講師の次の講座は来春開講予定であり参加する積りである。今後とも体育会系と文科系の趣味と興味がバランス良く共存して毎日を過ごせればと願っている。
本題の ”ポピュリズムとは何か?” については、二人の解釈をまとめて次回以降に書く。