コロナ問題についてメルケル首相のメッセージ (36 浅海昭)

欧州全域に拡大したコロナ感染の中で深刻な状態にあるドイツで、国民に充ててメルケル首相が送ったメッセージを友人から送ってくれたのでご紹介する。

メルケル首相の国民あてメッセージ

現在、コロナウィルスは私たちの生活を著しく変えています。日常生活、公的生活、社会的な人との関わりの真価が問われるという、これまでにない事態に発展しています。

何百万人もの人が職場に行けず、子供たちは学校や保育施設に行けない状況です。劇場、映画館、店などは閉鎖されていますが、最も辛いことは、これまで当たり前に会っていた人に会えなくなってしまったことでしょう。このような状況に置かれれば、誰もがこの先どうなるのか、多くの疑問と不安を抱えてしまうのは当然のことです。

このような状況の中、今日、首相である私と連邦政府のすべての同僚たちが導き出したことをお話ししたいと思います。

オープンな民主主義国家でありますから、私たちの下した政治的決定は透明性を持ち、詳しく説明されなければなりません。決定の理由を明瞭に解説し、話し合うことで実践可能となります。
すべての国民の皆さんが、この課題を自分の任務として理解されたならば、この課題は達成される、私はそう確信しています。

ですから、申し上げます。事態は深刻です。

どうかこの状況を理解してください。東西ドイツ統一以来、いいえ、第二次世界大戦以来、我が国においてこれほどまでに一致団結を要する挑戦はなかったのです。連邦政府と州が伝染病の中ですべての人を守り、経済的、社会的、文化的な損失を出来る限り抑えるために何をするべきか、そのためになぜあなた方を必要としているのか、そしてひとりひとりに何が出来るのかを説明したいと思います。

伝染病について私がこれから申し上げることは、「ロベルト・コッホ研究所」のエキスパート、その他の学者、ウィルス学者からなる連邦政府協議会からの情報です。世界中が全力で研究していますが、まだコロナウィルスの治療薬もワクチンも発見されていません。発見されるまでの間に出来ることがひとつだけあります。

それは私たちの行動に関わってきます。つまり、ウィルス感染の拡大の速度を落とし、その何カ月もの間に研究者が薬品とワクチンを発見できるよう、時間稼ぎをするのです。もちろん、その間に感染し発病した患者は出来る限り手厚く看護されなければなりません。

ドイツには優れた医療制度があり、世界でもトップクラスです。しかし、短期間に多くの重症患者が運び込まれた場合、病院には大きな負担がかかります。それは統計上の単なる抽象的な数字ではなく、父または祖父、母または祖母、パートナーであり、彼らは人間です。そして、私たちはすべての人の命に価値があることを知るコミュニティで生活しているのです。

まずこの場を借りて、医師、そして看護施設、病院などで働くすべての方にお礼を申し上げます。あなた方は最前線で戦っています。この感染の深刻な経過を最初に見ています。毎日、新しい感染者に奉仕し、人々のためにそこにいてくれるのです。あなた方の仕事は素晴らしいことであり、心から感謝します。

さて、ドイツでのウィルス感染拡大を遅らせるために何をするべきか。そのために極めて重要なのは、私たちは公的な生活を中止することなのです。もちろん、理性と将来を見据えた判断を持って国家が機能し続けるよう、供給は引き続き確保され、可能な限り多くの経済活動が維持できるようにします。

しかし、人々を危険にさらしかねない全てのこと、個人的のみならず、社会全体を害するであろうことを今、制限する必要があります。私たちは出来る限り、感染のリスクを回避しなければなりません。すでに現在、大変な制限を強いられていることは承知しています。

イベントは無くなり、見本市、コンサートは中止、学校も大学も保育施設も閉鎖、公園で遊ぶことさえ出来ません。州と国の合意によるこれらの閉鎖は厳しいものであり、私たちの生活と民主的な自己理解を阻むことも承知しています。こういった制限は、この国にはこれまであり得ないことでした。

旅行や移動の自由を苦労して勝ち取った私のような人間にとって(注※メルケル首相は東独出身)、そのような制限は絶対に必要な場合にのみ正当化されます。民主主義国家においては、そういった制限は簡単に行われるべきではなく、一時的なものでなくてはなりません。今現在、人命を救うため、これは避けられないことなのです。

そのため、今週初めから国境管理を一層強化し、最も重要な近隣諸国の一部に対する入国制限を施行しています。経済面、特に大企業、中小企業、商店、レストラン、フリーランサーにとっては現在すでに大変厳しい状況です。

今後数週間は、さらに厳しい状況になるでしょう。しかし、経済的影響を緩和させるため、そして何よりも皆さんの職場が確保されるよう、連邦政府は出来る限りのことをしていきます。企業と従業員がこの困難な試練を乗り越えるために必要なものを支援していきます。

そして安心していただきたいのは、食糧の供給については心配無用であり、スーパーの棚が一日で空になったとしてもすぐに補充される、ということです。スーパーに向かっている方々に言いたいのです。家にストックがあること、物が足りていることは確かに安心です。しかし、節度を守ってください。買い溜めは不要で無意味であり、全く不健全です。

また、普段、感謝の言葉を述べることのなかった人々に対しても、この場を借りてお礼を申し上げます。スーパーのレジを打つ方々、スーパーの棚に商品を補充される方々は、この時期、大変なお仕事を担われています。私たち国民のためにお店を開けていてくださって、ありがとうございます。

さて、現在急を要すること、それはウィルスの急速な拡散を防ぐために私たちが効果的な手段を使わない限り、政府の措置は意味を持たなくなるということです。私たち自身、誰もがこのウィルスに感染する可能性があるのですから、すべての人が協力しなければなりません。まず、今日、何が起こっているかを真剣に受け止めましょう。パニックになる必要はありませんが、軽んじてもいけません。すべての人の努力が必要なのです。

この伝染病が私たちに教えてくれていることがあります。それは私たちがどれほど脆弱であるか、どれほど他者の思いやりある行動に依存しているかということ、それと同時に、私たちが協力し合うことでいかにお互いを守り、強めることができるか、ということです。

ウィルスの拡散を受け入れてはなりません。それを封じる手段があります。お互いの距離を保ちましょう。ウィルス学者は明確にアドバイスしています。握手をしてはいけません。丁寧に頻繁に手を洗い、人と少なくとも1.5メートルの距離を置き、出来るだけお年寄りとのコンタクトを避けましょう。お年寄りは特にリスクが高いからです。

この要求が難しいことであることは承知しています。こういった困難な時期にこそ、人にそばにいてもらいたいものですし、物理的な近接、触れ合いこそが癒しとなるものです。残念ながら、現時点ではそれは逆効果を生みます。誰もが距離を置くことが大変重要であることを自覚しなくてはなりません。

善意のある訪問、不必要な旅行、これらはすべて感染を意味し、行ってはならないのです。専門家が「お年寄りは孫に会ってはいけない」と言うのには、こういった明白な理由があるからです。

人と会うことを避ける方は、毎日たくさんの病人の看護をしている病院の負担を軽減させているのです。これが私たちが人命を救う方法なのです。確かに難しい状況の人もいます。世話をしている人、慰めの言葉や未来への希望が必要な人をひとりにはさせたくはありません。私たちは家族として、あるいは社会の一員として、お互いに支えあう他の方法を見つけましょう。

ウィルスが及ぼす社会的影響に逆らうクリエイティブな方法はたくさんあります。祖父母が寂しくないように、ポッドキャストに録音する孫もいます。愛情と友情を示す方法を見つける必要があります。Skype、電話、メール、そして手紙を書くという方法もあります。郵便は配達されていますから。自分で買い物に行けない近所のお年寄りを助けているという素晴らしい助け合いの話も耳にします。この社会は人を孤独にさせない様々な手段がたくさんある、私はそう確信しています。

申し上げたいのは、今後適用されるべき規則を遵守していただきたい、ということです。政府は常に現状を調査し、必要であれば修正をしていきます。現在は動的な情勢でありますから、いかなる時も臨機応変に他の機関と対応できるよう、高い意識を保つ必要があります。そして説明もしていきます。

ですから、私からのお願いです。どうか私たちからの公式発表以外の噂を信じないでください。発表は多くの言語にも訳されます。
私たちは民主国家にいます。強制されることなく、知識を共有し、協力しあって生活しています。これは歴史的な課題であり、協力なしでは達成できません。

私たちがこの危機を克服できることは間違いありません。しかし、いったいどれほどの犠牲者となるのでしょう?どれだけの愛する人々を失うことになるのでしょう?それは大部分が今後の私たちにかかってきています。今、断固として対応しなければなりません。現在の制限を受け入れ、お互いに助け合いましょう。

状況は深刻で未解決ですが、お互いが規律を遵守し、実行することで状況は変わっていくでしょう。このような状況は初めてですが、私たちは心から理性を持って行動することで人命が助けられることを示さなければなりません。例外なしに、一人一人が私たちすべてに関わってくるのです。
ご自愛ください。そしてあなたの愛する人を守ってください。

ありがとうございます。

メルケル

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(4月4日 読売新聞記事)

メルケル氏の自宅隔離終了

ドイツ政府報道官は3日、新型コロナウイルスの感染者と接触したメルケル首相が、自宅での隔離処置を終えたと明らかにした。隔離後、3回のウイルス検査を受け、いずれも陰性だった。メルケル氏は、3月20日に予防接種を受けた際の担当医師がウイルスに感染していることが判明したため、22日から自宅にとどまり、執務にあたっていた。

 

 

三鷹通りの桜を見てきました (36 翠川幹夫)

何もすること、出来る事がない。せめて車中からのお花見でもと思い立ち、三鷹駅前の桜を見て来ました。

(後藤)
桜の写真を有難うございました。それにしてウイルス感染もひどい状態ですね。
予定されていた草野球も練習も全てキャンセル、やれることが屋内の片づけでは
気持ちも落ち着きません。体重増加と血圧が心配です。

(吉牟田)
メール拝見しました。車運転できる人はまだ 行くところがあり幸せだよ!
免許返上したやつは マスクして散歩してもすぐメガネが曇るし下北沢は未だバカな若者が闊歩しており危険なので行けずどこも行くとこがなく ただ家でブラブラするだけの生活です。

自粛中のカウンタから (バー ”アンノーン” オーナー  川島恭子)

とうとう コロナウイルスは、皆様の生活を脅かすまでになってしまいました
私たち飲食業界も危機となっています。先日、Facebookに投稿された同業者の意見をご紹介しますので、読んでいただけたら嬉しいです。色々な、ご意見やお考えがあるとは思いますが、安全 清潔 換気を以前と同じように それ以上 気をつけ、今の状況の中で営業を続けさせていただきます。

この状況下では、貸し切り状態にちかく、混み合う事もありませんので、もしBarの空間が必要になったら ご来店いただけたら嬉しく思います。皆さまにウイルスが寄ってこない事を祈りながら、自分自身の健康にも留意します。

(フェースブックから転載)

今晩の小池都知事の会見を受けて。
自粛…なんだそれ?今飲食店に集まる事が良く無いのはわかる!頼むから自粛じゃ無くて規制にして下さい!売り上げの補償なんてしなくていいから、働いている人達の給与せめて80%…いや60%でいいから補償してあげてください!(これは雇用保険無しのアルバイトにも拡充された模様、ただスピードが難しく…申請から数ヶ月かかる模様)家賃を50%…いや30%にしてせめて3か月はステップさせて下さい!ちゃんと来年再来年に分けて払います!(これは国交省から通達があれど、比率や期間など無し個人オーナーは難しそう)まだまだ問題山積です…そこらを規制、条例、法制化、してください!時間がありません。

繁華街の酒場、BAR、飲食店…などで飲食した人がクラスター化したから繁華街に行くな…わかったよ。だから、大至急飲食業で働くスタッフの生活をなんとかしてあげて下さい。国に要請してる?わかったよ。わかったけど、もう自粛じゃなくて規制して下さい。そして、規制と補償は同時に発表して下さい。
来年のオリンピック?…もちろんやるべき。だけどその時の東京には世界をおもてなしする飲食店、レストラン、はこのままでは無くなってんだろうね。きっと世界からのゲストはがっかりするだろうね…
ロックダウンとか都市封鎖とか非常事態宣言とか政治家と行政がしっかり決めて下さい!だけど自粛と言う名でズルズル潰されて行く日本の世界に誇る飲食文化をなんとか次の時代に繋げたい!
しっかりしゃがんでコントロールして思いっきりジャンプして、まずはみんなで気持ち良く未来に乾杯出来るようにさせて下さい!!

日本が大好きだから、東京が大好きだから…このままではあまりに酷い。
沢山の飲食業の仲間の声を聞き書かせていただきました。もちろん旅行業、エンタメ、始め沢山の業界もなんらかの政策が急務なのも理解しています。

(編集子注:”アンノーン”:本稿2月24日掲載記事で紹介)

蕎麦行脚  (37 菅谷国雄)

日本に生れて、蕎麦・饂飩など麺類(ラーメン・素麺などを含めて)が嫌いという人種は、間違いなく少数派であろう。こんなに旨い食べ物はいつごろから日本にやってきたのだろうか。

蕎麦いまむかし

遣唐使の時代、生きて帰らぬ覚悟をして辿り着いたかの地は、日本とは比べ物にならないほど文化の進んだ所。見るもの・食べるもの、すべてが洗練されたものばかりであった。そうした食べ物のうち、小麦粉を水で捏ね扁平に伸され、ひも状にされて茹でられたものが多く食べられていた。それを見よう見まね、日本に帰った留学生の僧侶が食した精進の小麦粉製品、それが素麺や饂飩の始まりといわれている。(新島繁・蕎麦史考)

更に蕎麦のルーツを辿れば、8世紀の初め養老年間に凶荒に備えるための救荒食物として蕎麦の栽培を勧める詔が発せられたという。(続日本紀)

それから1200年、室町・戦国時代までは、小麦粉に雑穀の蕎麦粉を混ぜて団子や蕎麦掻きにして食べられていたが、江戸時代に至って「蕎麦切り」が誕生、17世紀の半ば寛永年間には庶民の間に蕎麦切りが流行。維新前の江戸末期には「今世江戸の蕎麦屋大略毎町一戸あり、不繁昌の地でも四町一戸なり(守貞漫稿)」江戸市中の食べ物屋6000軒の内約半数の3000軒の蕎麦屋があったことが伝えられている。(江戸の蕎麦の粋・歴史年表)

明治16年には製麺機が開発され、昭和の食糧難の時代には正に救荒食物として、格好の代用食となった。昭和50年ごろから手打ち蕎麦が見直され、今やスローフードの代名詞として、懐石料理やフランス料理にも使われる、良き時代を迎えている。

蕎麦に魅せられて

読者の諸兄妹は蕎麦党ですか饂飩党ですか?。永年の友が「蕎麦か饂飩か」でとうとう仲間割れをしたというは話もあるほどの各々その拘りは尋常でない。食通が多い関西人が江戸で流行した雑穀まがいの蕎麦など食えるか、などと言ったかどうか・・・それでも私は今や蕎麦に軍配を挙げたい。

それまで、ただの食いしん坊で天丼やかつ丼を追いかけていた私が20年ほど前、会社の先輩に誘われて神田の老舗の暖簾をくぐったことが蕎麦の道に引きずり込まれるきっかけとなった。店に入って先ず女将さんの笑顔、さりげなく心のこもった店員のサービス、冷たい蕎麦茶が素晴らしい。蕎麦を待つ間の酒と料理にこだわりがある。待つことしばし、新蕎麦の香りとその爽やかなのどごし、カツオと昆布だしがまろやかな汁。爾来、手打ちで評判の店を各地に尋ね、蕎麦行脚が始まった。

今回、私の独断偏見による中央沿線「多摩・手打ち蕎麦10選」を本稿に掲載して頂くことにした。私よりも数段と蕎麦学・蕎麦道に詳しい方も多かろうとお恥ずかしい限りだが、近くに出かけられた折には、夫々のお店に気軽にお立ち寄り願えれば幸甚この上ない。

 

おすすめの店アプローチ

 

 

 

自粛中にミステリでも読んでみないか

ワンゲル、クラス会、映画館行、みんな無くなって自宅にいるしかない。庭をいじる気持ちもない。テレビもまあくだらんバラエティーと健康食品の宣伝ばかりだ。こういう時間こそ、知的水準の向上(というより認知症予防)のための読書にあてるべきだが、漱石もドストエフスキーも荷が重い。まさにミステリや冒険小説で興奮するべき時間ではないか。高校1年のとき、クラスメートの菅原勲にすすめられて何もわからず本屋で購入したハヤカワポケットミステリの1冊、”矢の家” にひっかかってから次々とポケミスを読みふけったのがきっかけで読んだ数だけはまあまああるので、いくつかご紹介したい。

今年高校生になる孫になにがいいか尋ねられ、文句なくイチオシしたのが古典ともいうべき アガサ・クリスティーの “アクロイド殺し”。初めて読んだメイスンの ”矢の家” は翻訳がみごとで、本来の謎解きよりもそちらの印象の方が強かったから、もし “アクロイド” に遭遇していなければミステリを読み続けることはなかっただろう。オーバーでなく、最後に文字通り本を取り落としてしまったほどのものだった。同じように結末の、いわゆる ”犯人の意外性”で感服したのはウイリアム・アイリッシュの ”幻の女” である。ミステリ入門にはこの2冊が絶対のおすすめだと思う(アクロイドのほうは 殺人事件 というタイトルになっている訳もある)。

ミステリ通と言われる輩があげる ”必読” はクリスティのほかにエラリー・クイン、ヴァン・ダイン,ディクスン・カー、F.W.クロフツ、などがよく出てくる。これらは確かに謎解きという点では優れているのだが、あわせてストーリーそのものが面白いかと言えばそうでもない。無理して作り上げた密室だとか、おどろおどろしい背景などが気に入らないのが多い。勿論、個々の好みではあるが、クイーンの ”国名シリーズ (例えば ”エジプト十字架の秘密” ”オランダ靴の謎” など、国名を関したもの)”と、識者の間では最高の推理小説、ということになっている ”Yの悲劇” に始まる3部作などがあるし、ヴァン・ダインは全作にわたって絢爛たる(僕に言わせればただやり過ぎに過ぎないのだが)主人公(ということは作者が自慢する)のぺダントリにへきえきしなければならないが、いずれも謎解き、ということにかけては唸ることが多いのも確かだ。

もう一つのミステリ分野が世にいうハードボイルドであり、僕はこれに完全にはまっている。1930年代、上述した主として知識階級の頭脳遊戯として書かれたものとは一線を画して、現実の社会の悪のありようを書き、主人公(探偵とはかぎらない)が自分の行動で正義をもたらすというのがテーマの文学作品である。この中で、前記クリスティに匹敵して古典中の古典とされる レイモンド・チャンドラーの “長いお別れ(Long Goodbye) “ 、今まで何人かの作家によって翻訳されていて、現在は売れっ子の村上春樹訳が評判のようだが、僕の好みでは、絶対に清水俊二訳で読んでもらいたいと思う。もう一つは ”さらば愛しき女よ”(清水訳。村上訳は さよなら、愛しい人)

本稿で一度触れたが、日本のあまたある本の中で、僕が最高だと信じているのは原尞の作品である。残念だが寡作の人なので、”それまでの明日” を読み終わった今、次作の発刊を心待ちにしている。

ハードボイルド、とは何か、ということについては本稿2017年9月のアーカイブをご参照いただくとして、最近映画化されTVでは ”アウトロー” というタイトルでトム・クルーズが主演した、リー・チャイルドの ”ジャック・リーチャー シリーズ” は素晴らしい。”アウトロー”の現題は ONE SHOT というのだが、このチャイルドの英語は簡潔で持って回った表現もなく、単語熟語も平易、原書で挑戦するにはもってこいである。この際、英語でもやってみるか、という向きには絶対のおすすめであることを追記しておく。

本日現在、東京に特別措置法による厳戒態勢が敷かれるかどうか、瀬戸際であるらしい。ま、吹雪を避けて停滞しているようなもんだ、と割り切って、その中でミステリ愛好仲間が増えてくれることを期待している。

(注:ご紹介した作品はすべてハヤカワ文庫で入手できる。チャイルドの原書は新宿高島屋のなかにある紀伊国屋にそろっている)

コロナ騒動―秦野での生活 (36 岡秀雄)

私は丹沢の麓秦野の有料老人ホームに来て10年強、老ワンダラーとしては周辺の自然についてはかなり調べ歩き考え・覚えてきましたが、地域の人間社会の動向等は情報源も少なく無知の方です。

コロナ騒動については現在まで秦野市周辺には感染者は発生しておらず、病院も大きいのが市内に国立神奈川病院(院長以下塾多い)秦野日赤病院(空いてて入院体制あり)隣の伊勢原市には東海大附属病院(塾系)伊勢原総合病院(JA)などあり恵まれた環境にあります。しかも空気は良く自然も多く人は少なく景色良好で散歩には大いに恵まれていて住人には大変有難い環境と言えます。

ただし通常は東京に出るのに小田急で新宿まで往復乗車時間が2時間半ですから相当に不便で、東京へ出るのは相当面倒に感じてきております。そんなわけでウイルス騒動以来私は危険な都会には全く行く気がせず2か月小田急に乗っていません。

現在の居住環境は約300軒400人が同じ屋根の下で生活している老人ホーム故、運営会社((株)ハーフ・センチュリー・モア) は当初より真剣に感染症対策に力を入れており2月中から、一人でも発症すれば共同利用している大浴場や食堂の利用が休止される旨の通知や、コロナウイルス感染予防ハンドブックの各戸配布、外出から帰館時手指消毒徹底、来館者の制限(含 家族・友人)、コーラス等館内サークル活動の禁止、その他厳しく規制を設け、居住者達も皆真剣に対処しております。

大半の住人は自分の部屋以外では館内での喫茶ラウンジで話し合い、図書室の利用、ビリヤード(一人または夫婦に制限)等で過ごし、館外には軽い散歩・買物に出る様な生活をしております。私はそれでは運動不足と感じ、荻原先輩(昭和32年卒)に世話になり1年半前に入会した鎌倉ローンテニスクラブ迄週1~2日車で行きテニス&俱楽部生活を楽しんでいました、荻原先輩夫妻とはよくご一緒にテニスで遊んでいただいておりました。しかしながら、そのテニスクラブも先週末(3月27日)から国や県の感染症対策に従い当面閉鎖されました。

山については、私は丹沢の山々は最近眺めるものになり、歩くのは里山のみですが(大半一人で歩くので危ない所は避ける為)午後から2~3時間で、上り下りもあり家から直接出発帰宅の散歩で結構運動になるので、時間があれば常に家からの散歩は続けて来ておりました。テニスはコロナ騒動で駄目になっても「自然の中を歩くこと」こちらはいつでも大丈夫です、天候・体調を考え当面は「自然の中を歩くこと」を増やして過ごすようにしするつもりです。これも65年間も楽しくワンデリングを続けて来られたお陰です。KWVに感謝!感謝!

カリフォルニア人のコロナ対策 (HPOB 五十嵐恵美)

皆様、いががお過ごしでしょうか? カリフォルニア州のShelter in Place Order (自宅避難勧告) が出てから3週間目に入ろうとしています.

サンフランシスコ、いつもは賑やかなパウエル通りですが

米国ではこの非常事態下での暴動を心配してか(?)銃砲の売り上げが上がったり、長時間自宅で一緒に過ごしたことのない夫婦の離婚の危機とか、パニック購買、中国人女性に対する都市での嫌がらせ、等々、のネガティブなニュースが聞かれる今日この頃です.

スタンフォード大学構内はこんな具合です

こちらは(メンロ パーク市)カウンティー  (群)  の公園が全て閉鎖されたくらいで、比較的通常の生活が営まれています.   もうすでに日本のニュース等でも取り上げられているかもしれませんが、いくつか、友人から送られた(あるいは新聞等で紹介された)心温まるビデオをご紹介します.

ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、ロッテルダム、オランダ

https://www.youtube.com/watch?v=3eXT60rbBVk&feature=youtu.be

双子のシシリアン、シシリー、イタリア

https://www.youtube.com/watch?v=WTPhHVWclow&list=RDWTPhHVWclow&index=1

(原曲、VIVA LA VIDA (COLDPLAY) 、https://www.youtube.com/watch?v=dvgZkm1xWPE

パリのオペラ歌手、パリ、フランス

https://www.youtube.com/watch?v=R390V9rlKuo

バークリー音楽大学、ボストン、マサチューセッツ

https://www.youtube.com/watch?v=QagzdvzzHBQ

お時間のあります折にそちらのご様子お知らせください.

HPの創設地、パロアルトの中心街ユ二バーシティアベニューは御覧の通り

 

コロナ騒動ーほかではどんな具合?

(コロナ騒ぎで身辺穏やかではないが、集中地になってしまった東京以外ではどんな具合か、東京以外での現況をお尋ねしている。本日までにご連絡いただいた分をとりあえず掲載、お願いしてある方々もそうだが、ご遠慮なく情報を頂ければ追加してご参考にした戴く心算である)

 

(宇都宮)55 宮城裕之

私は昨年3月までは東京に7年間通勤していましたが退職し、現在は3月より地元宇都宮の商社に転職、車通勤の生活です。宇都宮は新幹線で50分程度のため東京への通勤圏内で通勤している人も多いです。

宇都宮周辺には、工業団地も多く、日産、ホンダ、パナソニック、Sony, FANUC等の大企業が、宇都宮中心部からドーナツ状に広がっています。そのため基本的には車通勤の方が圧倒的に多いせいか、感染者の広がりは少ないようです。(SUBARUは、戦前からある企業のため、町の中心部からも近いため、私は基本的に徒歩での通勤でした。)

栃木県は感染者が10名程度まで増えましたが、当初は海外からの帰国者だけでしたが、だんだんと経路不明の患者が増えてきたようです。宇都宮周辺の企業も先週から、自宅待機・時差出勤等を行っているようで、車の往来がかなり減っており、朝はかなり車の数が減っているように感じます。

(鳥取県)39 石谷正樹

田舎工場の経営を卒業して昨年秋より老人ホームに入って家内と合流したばかりで、やっと老人ホームの生活に馴れたと思ったらこのコロナ騒ぎとなり、いささか泡を食っています。何しろ誰か一人でもコロナを持ち込んだら、60人の老人たちがひとたまりもなく全滅してしまうので、まさに皆が運命共同体です。当然ながら厳重な警戒態勢が敷かれ、家族の面会はもちろん入居者の出入りも規制されていて、事実上缶詰状態となっています。
身をもてあましたあげく、先日会社の緊急の用事があると言い訳して鳥取の工場に帰ってみました。鳥取県は今や日本では汚染されていない純白な5県のなかの一つです。それだけ人の往来が少ないということで自慢すべきことかどうか判りませんが、やはり残るべくして残った感はありあます。
狭い田舎町のことでもあり、また感染者がいないという気楽さもあって、帰ってみたら久しびりに会った連中と早速飲み会になりました。花粉症の男だけがマスクをしていました。飲み会やっても全然問題ないと云いながらも、誰もが異口同音に鳥取県の第1号にだけはなりたくないと云っていました。
これから世界が一体どうなるのかと不安もありますが、一方ではこれまで失敗しながらもやれるだけの事はやったという思いもあるので、コロナに罹っても心残りはないだろうと思います。ただこれから老人ホームに戻るのに、自分がウィルスを持ち込むことだけは絶対にあってはならないので2週間自宅待機した後に健康チェックをしてもらってから帰館する予定にしています。
(山口県) 47 関谷誠

山口県方面の状況ですが、現時点(編集注:メール発信は26日)での感染者は5名、今までは九州方面に出かけていた下関在住の家族に限られていましたが、その後、フィリピン人の出張者、欧州留学帰りの学生とそれなりの広がりを見ていますが、感染源・接触がある程度把握されており、アンダーコントロール中か(カタカナを使うなか!)。我が町防府市内の日々にこれと云った変化はなく、マスクが手に入らないのかどうかは不明なれど、スーパーやショッピングモールでのマスク着用は限定的。トイレットペーパー問題が炎上した直後はドラッグストアーの広い駐車場が満車状態となり、御多分に漏れずパニックに陥ったが、現状では解消。マスクと消毒用アルコールだけはどの店も「入荷不明」との貼り紙

義母が入所している特別養護老人ホームは今週から原則面会禁止と
なり、家内と過ごす時間もそれなりに増え、良し悪し!。

(ついでにブラジル)
今月で、通算17年過ごしたブラジルから戻り丸10年;5月で、春スキーでの重大遭難騒ぎから丸10年;7月で、家内の郷・山口県防府市に引っ込んで丸10年;
この間、自分と身の回りに悲喜こもごも多々ありましたが、この10年目の節目に昨今の全世界を席捲のコロナ禍、何と云いましょうか、言葉がありません!
私の第二の故郷とも云えるブラジルでの感染者が、知人からの情報では,本日時点(編集注:メール発信は26日)で、あっと云う間に日本を超え、2,500人近く(死者57)となり、都市部では60歳以上は原則外出禁止になったとのこと。オープンな空間とは云え浜辺や街角でビールを飲みながら政治だ、サッカーだと口角泡を飛ばしつつ濃厚接触を好む国民性、更なるオーバーシュートを陰ながら懸念する次第。