江戸情緒もないしプラチナ通りの華やかさもない、まあ、街道筋の横丁にも、それでも秋はやってくる。我が家の向かい側、落ち着いたたたずまいの家からこぼれ出てくる萩の花。
”中司さん、この萩に似合う歌があるんだけど、知らないだろうなあ“。もと財務省にその人ありと知られた敏腕官僚だったという家の主は道いっぱいに落ちた萩の花をかき集めながら、
白萩の 三斗こぼれて 三斗咲き
という句を教えてくれた。誰の句だったか、教えてもらったのだが忘れてしまった。杉本宗匠ならご存じかもしれないが。
数年前、夫人が体調を崩して入院され、まもなくご本人も施設に移られた。その後お会いする機会もなく、時々、親族と思われる女性が見回りに来られることはあるものの、雰囲気のある家はひっそりとしたまま。ただ、その人が愛していた白萩は今年も静かに咲く。三斗はないが。
白萩に あるじの孤影 かさねをり
(37 杉本光祥)ご無沙汰しています。三斗咲きの句、いい句だと思いますが、始めてみました。私も作者は知りません。そこで、歳時記やパソコンでも調べたのですが見当たりません。お役に立てず申し訳ありません。
最後の白萩の句もなかなかいい句ですね。ジャイさんの句ですか。
私の先月の特選の句
山の日や山の山たる剱岳 光祥
山の日にちなんで、昔を思い出して作ったものです。どうぞお元気でご活躍下さい。
(編集子)びくびくしながら書いておいた自作の一句、おほめに預かり天に登る感じであります。