小泉さんに感想を詳しく書いて頂いた「ロイ・ビーン」を初見でみました。
私はポール・ニューマンは「傷だらけの栄光」「熱いトタン屋根の猫」「ハスラー」等々、多数見ていますが、好きな俳優の一人です。この映画「ロイ・ビーン」(1972年)は、絶頂期の彼の代表作「明日に向かって撃て!」(1969年)と「スティング」(1973年)の間に製作された作品ですが、それを考えると正直、ちょっとがっかりしました。小泉さんの記述にあるように≪気に入らない者は首を吊るして行くという人間を無邪気さとのギャップを込めながら描いている≫ということでしょうが、見ている本人(私)としてはあまり面白くない。
ジョン・ヒューストンという監督は“鬼才“とあだ名がつけられていたと思いますが、奇をてらって演出する所があり、「キー・ラーゴ」「赤い風車」「白鯨」などは成功した部類ですが、「アフリカの女王」はアカデミー賞を取ったというので、数回見てやっと良さが分ったのが正直な所でした。この映画、薄汚い格好のK.ヘップバーンとH.ボガートが延々とボートで漂流するシーンが続きました。
翻って「ロイ・ビーン」にもポーカー賭博シーンが2~3回出てきますが、ストーリー展開の割には場面転換が少ない感じがしたのとP.ニューマンが女性たちを呼ぶのに娼婦と売女と言い分けて呼んだり(菲才な小生には聴き分けられなかったですが)するシーンも、あまり戴けない感じがしました。
折角のP.ニューマン主演の映画でしたが残念でした。率直な感想です。
(小泉) 飯田さんの言われること、もっともと思うことが多々あります。小生の感想、映画
の内容を紹介するだけの、個々のエピソードをごたごた書きすぎて、感想らしくないものになってしまっているようです。どうやらジョン・ヒューストン監督としては、気に入らない者の首を吊ることの正義感は法律の手先であることへの反発としているかのようです。妻を失ったことへの責任を医師のせいにして、縛り首にしようとして、阻まれ、町を出て行く場面等も、本人は正義の裁きを下せない不条理を感じての行動のようだが、心から納得するところまでは行きません。
(編集子)この人(ニューマン)のことは良く知らないので見当はずれかもしれないが、基本的にセーブ劇向きの人じゃなかったと思うな。スマートすぎるというか、うまく言えないんだが、いつも冷笑的な、都市人特有の感じが抜けない気がする。
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