米国大統領選挙と民主主義について

石破政権誕生よりも多くの人が関心を寄せたと思えるほど、今回の米国大統領選挙と結果をめぐっていろんな議論があるようだ。それぞれに納得するのだが、ただ一点、絶対に間違っている認識だと思うのが、今回の結果が米国における民主主義の弱体化のせいだ、という議論である。

小生は今回の選挙の結果は米国の民主主義がいまなお健全であり、われわれの範とすべきものだ、と確信するものだ。民主主義の根底は個人の意見意思がそのままに政治に反映されることにつきる。今回の結論を見れば全米50州のうち、かつて民主党地盤とされた、いわゆるブルーステートの多くが共和党州すなわちレッドステートに入れ替わっている。これは人々が明確に民主党の主張よりも共和党のそれを選択したからであり、従来のいきさつにひきずられることなく、個人の意思が示された結果だ。これほど民主主義の原則を明確に示した結果はあるまい。また、敗れたハリスもきっぱりと結果を尊重し,新政権との平和的な引継ぎを確約した。このことはもう一つの政治システム、二大政党制の健全さを示すものだろう。

今回の結果起き得るトランプ政権の動向に多くの人が不安を感じ、世界的な影響を憂えるのは確かだ。そのため、我々外国人のあいだには反トランプ感情があったのは事実だし、小生もその一人だ。しかしそれは民主主義の崩壊などという感情的な論理とは全く別の次元での問題であり、原因と結果の取り違えをしてはならない。今回の歴史的事件を見て、われわれがいま憂うべきは、米国ではなく我が国の民主主義のあり方ではないか。これは議会制度と大統領制との根本的な違いでもあるが、総理大臣が決まる過程そのものに党利党略がからんだり、民主主義政治の重要なインフラであるべき基本的なしくみである二大政党制がいまだに実現していないことにつきる。与党内部の暗闘や駆け引きはもちろん問題だが、何よりも憂うべきは、健全な野党が生まれないことだ。さすがに最近の言論の場にマルクス・レーニンが登場することは少なくなったが、現実離れした理想論にしがみつき、今なお憲法九条があるから戦争がないのだなどという妄想におどらされる空疎な議論から脱却しない限り、二大政党の実現は今なお道遠し、と言わざるを得ない。

トランプMAGA政権が何を引き起こすのか、不安は数多い。なかでも地球温暖化という現実からさえ目を背けようとするトランプの論理に背筋が寒くなるのは事実だ。しかしその不安があるからアメリカの民主主義が崩壊した、などという議論は、くりかえすが原因と結果の取り違ええあり、全くの空論に過ぎない。それよりも我が国の民主主義の仕組みがいまなお不全であることのほうがはるかに問題なのではないだろうか。

(菅原)首件を拝読。

「今日の結果が米国における民主主義の弱体化のせいだ」。誰がこんなバカバカシイことを言ってるのか知りませんが、どうせ左巻きの連中でしょう。つまり、エセ共産党である民主党のハリスを応援していたところが、トランプが勝っちゃった。連中が信奉していた多様性とか包摂性などが否定されたわけだ(民主主義は多数決)。これは、米国が賢明な選択をしたことを意味する。つまり、米国の民主主義は極めて健全である。左巻きの連中は、世の中の選択が間違っているのであって、自らは一切反省なし。でも、お互いを罵り合うのは、日本では真似したくない。