ここのところ、BS劇場に見たい作品があまり出てこない。CSチャンネルをなんとなく探していたら、一昔前のことになるがその時には見ることもなかったミステリもので、本では結構固めて読んだ、西村京太郎原作 ”十津川警部” 番組の再放送にぶち当たった。懐かしさもあって、以来、昔読んだ時を思い出しながら放映は逃さずに見るようになった。たまたま出会ったのは渡瀬恒彦主演のシリーズなのだが、このシリーズの後編ともいうのが内藤剛志主演であること、さらには船越英一郎主演ものなどにも出くわしたので、待てよ、と例によってググってみると、今まで十津川を演じた俳優は16人いることが分かった。そもそも時間的に一番早かったのが三橋達也で、夏八木勲、宝田明、天知茂に神田正輝に高島忠夫に若林豪などなど、これまた懐かしい名前がずらりと出てきた。
原作者の西村京太郎は多作の作家として知られているが、作品数は600作を越えるそうで、グーグルには ”本気で読むならこの順番にしなさい” という記事があるほどだ(昔は大分読んだものだ、などとうそぶいたのが誠に恥ずかしい)。その作品群のなから代表作の十津川警部ものはトラベルミステリ、と呼ばれたように主に鉄道に関しての著者の蘊蓄を発揮した作品である。テレビ作品として、シリーズ化されたものも多いので、毎回出てくる助演陣にも親近感を覚えてくる。渡瀬シリーズでは、いわばホームズもののワトソン役の亀井刑事を伊東四朗が勤めているのだが、調べてみるとこの役には、歴代、どういうものか愛川欣也、坂上二郎、い かりや長介、高田純次、犬塚弘、とコメディアンとして名を成したひとが充てられていることが多い。本を読んでも、亀井刑事は実直なたたき上げの刑事で、コミカルな要素が要求される役どころではないのだが、当時、コメディ畑のひとの転身が流行っていたのか、そのあたりの事情は分からない。しかし目下、放映されている渡瀬主演版の伊東四朗、内藤版の石丸健次郎、船越版の門野卓造と、いずれもベテランらしい、抑えた、落ち着いた役作りである。
そういうわけで、ここのところ、テレビを見る時間が増えているのだが、BS でも CS でも、いわゆるミステリ物の多いことに驚く。しかしポワロやホームズあるいは金田一恭介といった、いわゆる名探偵ものはほとんどなく、より現実的なストーリーを追う結果、警察ものの数が多いが、いっとき世を風靡した裕次郎の 西部警察 のような現実離れしたものでないのがいい。そういう意味では、これも存在したことさえ知らなかったのだが、村上弘明と加藤剛のコンビで語られる森村誠一の 刑事の証明 は抜群の出来である。十津川シリーズが物語、であるとすればこの村上作品は引き締まった、社会性のある重厚な作品だ。ただ残念ながらわずか9本しか作られておらず、DVD化もされていないのが誠に残念なことである。
再放送の作品群、たしかに時代背景は古くなっているが、満足できる作品が多いのは俳優陣が見慣れたもので、同じシチュエーションでも実感を伴わない洋画とは違って、いわば ”懐かしき日々” を再現してくれるからなのだろうか。
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西村 京太郎(にしむら きょうたろう、1930年9月6日 – 2022年3月3日)は、日本の推理小説家。本名は矢島 喜八郎(やじま きはちろう)[3]。人気シリーズである十津川警部シリーズ[1]や、トラベルミステリーで知られる。
日本中にトラベルミステリーというジャンルを示すきっかけとなったヒット作『寝台特急殺人事件』から全面的にトラベルミステリーに移行する。西村が考えた、鉄道などを使ったトリックやアリバイ工作は、そのリアリティが功を奏し根強い人気がある。
1933年〈昭和8年〉[1]1月2日[2] – 2023年〈令和5年〉7月24日)は、日本の小説家・作家。元ホテルマンであり[3]、ホテルを舞台にしたミステリー作品を多く発表している[4]。江戸川乱歩賞や日本推理作家協会賞など数々の推理小説の賞を受賞した[3]。
(もりむら せいいち、年代の作家として大藪春彦と交遊があり、森村は大藪の葬式で弔辞を読み上げた。また「思想の違い」を乗り越えて、角川春樹とは同志的連帯感があり[16]、角川が麻薬事件で逮捕された時は、「角川書店の将来を考える会」を自ら主導して結成した。その記録を『イカロスは甦るか―角川事件の死角』として出版した。