ウクライナ紛争ー戦争下のハム仲間たちよ、元気でいてくれ

オリンピックと並んで、世界中の仲間が友達、のアマチュア無線(ハム)の世界も国家の紛争となると残念ながらその機能を失ってしまう。すべての国は国家存続にかかわるような事態に立ち至ると情報管理の立場から、ハム局の活動停止を命じることができる。アマチュア無線憲章では、政治の話題は通信してはならない規定になっているが、これはあくまで正常の状態でのエチケットにすぎない。現在世界のアマチュアが使っている通信機やアンテナがあれば、その気になれば下手な情報部員よりは優れた情報を集める事だって可能なのだから、やむを得ない措置と言える。

日本アマチュア無線連盟関連のHPから関連記事を転載(44 浅野三郎君のご示唆による)してみよう。この記事は2月24日付けのもの。

ロシアによる軍事侵攻の懸念が高まっているウクライナ。ゼレンスキー大統領は2022年2月24日から30日間の「非常事態宣言」を発令した。対象地域は東部のドネツク州とルハンスク州を除くウクライナ全土。これにより同国では「抗議活動の禁止」「情勢を不安定にする可能性がある情報の作成および流布の禁止」などと並び、「アマチュア無線機の使用禁止」が政令で認められ、同国におけるアマチュア無線運用が事実上禁止される。ウクライナは東欧でもアマチュア無線局が多い国で、2000年のIARU統計では17,265局が免許を受けているという。

他方、ロシアのほうはまだ封鎖措置は取らず大国の度量?を示している。

さまざまなニュースが伝えられるウクライナ情勢だが、ロシアアマチュア無線協会「SRR/Russian Amateur Radio Union」は2022年3月3日、「SRRはIARU(国際アマチュア無線連合)とその加盟国の組織に訴えます」というメッセージを同協会のWebサイトで公表した。その中で「紛争でロシア国家がどの側にいようとも、SRRは紛争に巻き込まれた国のアマチュア無線家や無線団体に対して非友好的な措置をとったことはありません」「ウクライナでの事件に関連して、…SRRはアマチュア無線の伝統(慣習)に忠実であること、アマチュア無線を使った感情的な行動を控え、互いの交流を絶やさず、知恵と相互理解を示し、それによって状況の迅速な解決に貢献することを求めます」と述べている。

日本のハムにとって、極東ロシアは韓国や台湾と並んで最も近い外国であり、外国局との初交信がこのあたり、という人はたくさんいる。またウクライナは距離的には最も近いヨーロッパ(アマチュア無線の世界での定義)であり、交信もわりとたやすい。

小生が交信のたびに交換してきた交信証(QSLカード)の中から数枚を抜き出してみた。左側、ウクライナのディミトリ、右側、ロシアのセルゲイ。彼らがかつてのように声を掛け合うことができる日がくるのだろうか。その日まで、元気でいてほしいといのるだけだ。