”置き配とタブレット” 追論     (44 安田耕太郎)

ブログ拝読しました。思わず大きく 膝をたたき ました。全く同感。言ってみれば、概ね同一民族による均質性の高い文化・習慣を歴史的に長らく維持し育んできた島国国家・日本の特長・美点を挙げられたと理解します。その多くは日本では当たり前な普通のことでも外国からみれば稀有な驚愕することのようです。

海外から初めて日本に来て驚いたと彼らが指摘することを追加すれば、一つには、現金が詰まった無数の “自動販売機“ が野放図に道端に設置されている事実。最近、自動販売機荒らしが報告されるようにはなったが(外国人の犯行だと目されている)、彼らにとっては信じがたい驚愕する日本の現実。この類の日本独自の美点とも云うべき事例をあげれば枚挙に暇がないが、2~3挙げると、海外から来日した取引先の外国人は、建物の工事現場を見て皆驚いていた。周囲を幕で覆い美観対策のみならず、安全面での対処法にも目をむいて驚く。犬の糞を踏まずに散策できる公園。海外旅行においては命・パスポート・クレジットカードの次に大事なスマホを紛失したが、本人の許に届けられ泣かんばかりに感激した外国人旅行者。彼らにとっては夢のような国。テレビで報告された事例では、紛失したあと帰国した外国人の母国にまで届けられたこともあった。

いわば温かい人間の血が通ったアナログ的な美点を誇りに感じるべき日本人は、現在、便利さ・効率性・労働生産性を追求するいわばデジタル的な会社経営のみならず社会運営を強いられているかのような呪縛に陥っているように見える。それが、社会の進歩と発展と直結していると錯覚するきらいがある。大間違いだ。

日本が挑戦すべきは、例にも挙がった日本のアナログ的美点・習慣を維持しつつ(無意識に維持され)、如何にして貧困化の流れを食い止め、経済発展・成長路線へ国を社会全体を方向転換させるかということに尽きる。安全、安心で裕福な住みよい社会が究極なゴールだ。言ってみれば、アナログとデジタルが究極的に効率よくブレンドしたハイブリッドな社会を目指すべきだと思う。二つは決して二律背反の矛盾することはなく、労働生産性を追求した結果、失業した労働者の仕事・職を確保する新たな雇用機会を新しい産業を興すことで吸収する必要があろう。時間は暫くかかるが、世界的に観て競争力のある付加価値を産む産業の育成、日本の産業構造転換・労働人口の適切な配置・分配、大きな新規雇用機会の創出などを達成せねば貧困化には歯止めがかからない。

日本の現状は、“ 貧すれば鈍す “、” 悪貨は良貨を駆逐する” のスパイラルに巻き込まれている気がして、更に危険が増幅する可能性も大いにありうる。上手く方向転換させなければ、結果はさらなる貧困化をもたらし、そして何百年と維持・運用されてきた長い歴史と文化の土台の上の成り立って来た、このブログ交信でも挙げた幾多の素晴らしい(世界を驚愕させる)日本の美点を犠牲にしかねないということだ。貧困、失業者に歯止めがかからず、“ 置き配” や “自動販売機” は盗難の危険が心配になる社会に決してしてはならない。政・官・産業界・民・教育界・家庭・・全ての関係者・国民にとって突きつけられ挑戦しがいのある課題であろう。