ニューメディアの現状      (普通部OB 船津於菟彦)

東京都知事選挙・アメリカ大統領選挙・兵庫県知事選挙などで急にSNSが話題になり諸問題を生んでいる。そして新聞・テレビ・雑誌などをオールドメディアと揶揄する傾向がある。ニューメディアとは、科学技術の発展に伴って誕生した、従来のテレビ・ラジオ、新聞などの既存のマスメディアとは異なる新たな媒体として、1980年代に普及が期待されていた情報メディアの総称であり、その後Internetの想像以上の伸展と、光ケーブルなどの通信網の整備などで急速にSNSと言うことで発展していく。
SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、インターネット上のコミュニティサイトのことを指す。A対Bの電話通信の領域を越えて放送と同じ様な廣く誰にでも伝えられるシステムであって、ユーザーが情報発信し、同士でつながりを持つことができる。プロフィールや写真の公開、メッセージの送受信、友達検索などの機能があり、企業も販売促進やマーケティングの手法として活用している。そのための機能も多数あるが、その代表例である「LINE」「Facebook」「Instagram」についてまとめてみた。

今回の選挙など話題になったNSは我々世代は殆ど使用していないが、ツィターとかX 、あるいはYouTubeである。

・X(エックス)「短文の投稿で交流するSNS」は、140文字以内の短い文章を投稿して交流する。リポストという他の人の投稿を、自分のフォロワー(自分の投稿に興味のある人)に共有する機能によって、投稿を拡散することができる。
・LINE(ライン)「メッセージのやり取りで交流するSNS」は知り合いとメッセージのやり取りで交流する仕組みであって日本国内で利用者数が最も多く、また相手の顔を見ながら話せる無料のビデオ通話機能も装備している。

・YouTube(ユーチューブ)「動画の投稿で交流するSNS
検索エンジン大手のGoogleが提供している世界最大の動画の投稿で交流するSNSであって、全世界で毎月20億人以上が利用しており、1日当たりの動画視聴回数は、数十億回に上るとされている。

・SNSを利用しない人でも知っているSNS用語
いいね !  インスタ映え  バズる  LINEグループインフルエンサー ユーチューバー  炎上 フォロワー 拡散する フェイクニュース  #(ハッシュタグ)などなど、どれも耳にしたことがある言葉ではないだろうか。「インスタ映え」という言葉が2017年の流行語大賞に選ばれたのも、SNSを介して生じた社会現象のひとつといえる。このようにSNSは、さまざまな社会的影響力を持つコミュニケーション手段になっていて、小学生のなりたい職業の第1位がYouTuberだという調査が、マスコミで話題になったこともあったくらいだ。

高齢世帯の増加により、一見すると旧来メディアの利用時間・利用者数は増えそうに思える。しかし実際には、テレビは増加する傾向を見せるものの、新聞は(減少幅の違いこそあれ)全世代で「新聞離れ」が起きているのが確認できる。これでは新聞購読者そのものが減るのも致し方ない。また、若年層を中心に深刻なテレビ離れが進んでいると言われているが、事実、総務省が発表しているテレビ(リアルタイム)平均視聴時間(平日1日あたり)の推移を見ても、2012年から2021年までの約10年間で増減はあるものの全体的には緩やかに減少傾向が続いているのが分かる。年代別では60代は概ね横ばい傾向、50代以下は減少傾向にあり、10代・20代に至っては2021年時点で60分前後にまで減っているし、4大従来型メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)は波があるもののどの媒体も押しなべて減少傾向にある。
他方、インターネット接続が可能なデジタルメディアでは、パソコンが2011年までは増加傾向にあったものの、それ以降は減少に転じる動き。パソコン以外のインターネット接続が可能なデジタルメディアは、おおむね増加の流れにある。すなわち従来型4メディアが少しずつその足場を削られ、インターネットを用いた新世代メディアが、その削った足場を奪い取るなか、新メディアの中でも新陳代謝的に、パソコンから携帯電話(や2014年から加わったタブレット型端末)へのシフトが起きているのが一目瞭然である。

媒体別の広告費の推移を見るとインターネット広告は2010年に新聞広告を抜いて以降右肩上がりで上昇し続け、2019年には2兆1,048円とテレビ広告の1兆8,612億円をついに上回る結果になった。新聞購読数はこの25年間で「5376万部」から「3084万部」に  日本新聞協会が発表した2022年10月時点の新聞発行部数は3084万部。1年前に比べて218万部、率にして6.6%減少した。新聞発行のピークは1997年で、その時の総発行部数は5376万部。25年の間に2300万部余りが減少した。読売新聞は「発行部数世界一」でギネス記録にも認定され、かつて発行部数1000万部を超えていたから、読売が2つ消えた格好である。
新聞の発行部数の減少が目立ち始めたのは2008年ごろ。それまで1%未満の増減だったものが、2008年に1%を超える減少を記録した。それ以降、減少率は急速に拡大し、2014年には3.5%減、2018年には5.3%減、2020年には7.2%減となった。つまり、減少ピッチは収まっていないのだ。このままのペースで減りつづければ、20年以内に紙の新聞は消滅してしまう勘定になる。

選挙とか世論を動かすのは新聞・テレビ・雑誌では無く、SNSが若年層を中心に影響している。どうする新聞・テレビ・雑誌。これからは更にAI「人工知能(Artificial Intelligence)」が更なる問題を生んでくるかも。

(編集子)半世紀プラスワン、くらい昔,本稿の投稿者船津は慶応高校新聞部所属、当時全国高校新聞コンクールで常に第一位に選ばれた ザ・ハイスクールニューズ の編集長、かくいう編集子は (笑うなよ)論説委員代表であって、ともに大手新聞社に加わり、社旗を翻した車を乗りつけて要人に会い、世界情勢を語る夢を持っていたものだ。夢破れて船津は(この記事によれば新聞を廃業に追い込むかもしれない)次世代通信システムの販売にくわわり、小生はそのシステムを支えるエレクトロニクス機器のメーカーに職を得るということになった。本稿の趣旨を裏書きするかのように、栄光あるわがハイスクールニュース紙も廃刊になってしまったようだ。

どうする新聞、ってったって、どうする、おめえ?