一年回顧の時がまたやってきた    (普通部OB 船津於菟彦)

年の暮れ、2024年を思い返すと災害と混乱の始まりの年のような兆しの年だった。地震と異常気象。与党自民党大敗。米国は「またトラ」.。

・新年早々 1月1日の午後4時過ぎ、石川県能登半島を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生し、震度7の激しい揺れを石川県志賀町で観測したほか、震度6強を七尾市と輪島市、珠洲市、穴水町で観測。
・1月2日午後6時前、東京 大田区の羽田空港で、新千歳空港から向かっていた日本航空516便が、着陸した直後に海上保安庁の航空機と衝突、海上保安庁の機体に乗っていた6人のうち5人が死亡、日本航空の乗員・乗客379人は全員が脱出。
・8月8日に起きた日向灘を震源とするM7.1の地震を受け、気象庁は、次の巨大地震に注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表。
・58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判が行われ、9月26日の判決で、静岡地方裁判所は捜査機関によって証拠がねつ造されたと指摘し、袴田さんは無罪となる。
・10月11日、ことしのノーベル平和賞は、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会が受賞、核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが受賞理由だった。
・民間の有識者グループ「人口戦略会議」は4割にあたる744の自治体で、2050年までに20代から30代の女性が半減し、「最終的には消滅する可能性がある」とした分析を4月24日、公表。
・少子化対策が進む中、去年1年間に生まれた子どもの数が前年より5.1%減少し、75万8631人となり(速報値)、統計開始以来、過去最少を更新。
・旧優生保護法のもとで障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判の判決で、最高裁判所大法廷は、7月3日、旧優生保護法は憲法違反だとする初めての判断。
・新しい紙幣が7月3日に発行され、日銀から金融機関への引き渡し開始。
新たな紙幣は一万円札が「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一、五千円札は日本で最初の女子留学生としてアメリカで学んだ津田梅子、千円札は破傷風の治療法を開発した細菌学者の北里柴三郎の肖像がデザインされている。
・自動車やエンジンの大量生産に必要な型式指定の取得で、ダイハツ工業などによる不正行為が相次いだことを受け、国土交通の同じようなケースがないか各社に命じた調査に対し、自動車メーカーなど5社が車の性能試験で不正があったと報告したことが6月3日、判明。結果、国土交通省は現在生産する車種で不正が確認されたトヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機の3社に出荷の一部停止を指示。
・日本郵便は手紙の料金をいまの84円から110円にするなど、ことし10月に郵便料金を一斉に値上げする届け出を6月13日に行った。利用数の減少や物流コストの上昇が理由。
・4月29日の外国為替市場では、円安がさらに加速、1990年4月以来、34年ぶりに1ドル=160円台をつけたのち、日本時間の午後に一転して円高方向に変動し、円相場は1ドル=154円台まで値上がりした。
・2月22日の東京株式市場、日経平均株価は、バブル期の1989年12月29日につけた終値としての史上最高値を更新して3万9098円68銭まで上昇。
・7月24日、最低賃金について議論している厚生労働省の審議会は物価の上昇が続いていることなど踏まえ、今年度、過去最大となる時給で50円引き上げる目安を示し、全国平均は時給1054円とすることで決着。
・日本の2023年1年間の名目のGDP=国内総生産は、ドル換算でドイツに抜かれて世界4位(内閣府・2月15日公表)。長年にわたる低成長やデフレに加えて、外国為替相場で円安が進みドルに換算した際の規模が目減りしたことも影響。
・派閥の政治資金パーティーをめぐり自民党は、4月4日安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決定、塩谷元文部科学大臣と世耕前参議院幹事長は離党勧告処分に
・岸田総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙が9月27日に行われ、石破茂元幹事長を新しい総裁に選出。自民党は衆院選挙で大敗過半数を割る与党となった。
・10月1日、衆参両院の本会議で行われた総理大臣指名選挙で石破茂総裁はを第102代の総理大臣に選出。
・「またトラ」となり米国第一主義が—–今後の政界情勢は不透明。

・新語・流行語大賞 「ふてほど」 関係者は『不適切にもほどがある』という言葉が使われ、うれしい半面、今年は不適切なことが多かったということかと、複雑な心境でもある」と話した。

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最近有名人の訃報とか知人の訃報の知らせを聞くと何やら秋風が顔をなぜるように寂しくなる。歳だなぁ。

さびしさはいつともわかぬ山里に
尾花みだれて秋かぜぞふく

年を取ると「残る花」が淋しくなる。親しい人たちがみな亡くなって、ひとりとり残されるほうが淋しいからだ。そういう心情が投影される。島崎藤村の曰く

あゝうらさびし天地(あめつち)の
壺(つぼ)の中(うち)なる秋の日や
落葉と共に飄(ひるがえ)る
風の行衞(ゆくえ)を誰か知る
風の行衞(ゆくえ)を誰か知る

諸行無常を芭蕉は「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」。

小生は今の心境をあらわす二句で今年を送ろう。

小林一茶 『 世につれて 師走ぶりする 草家哉 』
正岡子規 『 いそがしく 時計の動く 師走哉 』