ビッグマック指数の話    (普通部OB 田村耕一郎)

友人から送ってもらった記事を送ります。選挙を控えて経済論議が盛んですが、こういう見方もあるんですね。

 

別表のランキングは、英誌エコノミストの“ビッグマック指数”だ。世界各国で販売されているマクドナルドのハンバーガー「ビッグマック」の売価を調べたもので、その国の物価や経済力を表すひとつの指標とされる。

今年7月の調査によると、日本は57カ国中32位で390円(1位のベネズエラは現在ハイパーインフレ中のため除外する)。実質1位のスイス(793円)の半額で、アメリカやユーロ圏、韓国にも抜かれ、現在のレートだと中国にも僅差だが下回る。日本より安いのはアジア諸国や南米、ロシア、中東、東欧の国々。指数がその国の経済力を表すなら、日本はいまや世界の下位グループということになる。
 先週、世界各国の購買力平価の1人当たりGDPで日本は30位だと書いたが、ハンバーガーの値段ひとつとっても、やはりもはや日本は豊かな国とは言えないと思う。
「日本は治安が良く、人々は親切で礼儀正しい」――これは日本を訪れた外国人観光客が口にする定番のセリフだが、近年ではそこに新たな評価が加わった。

「日本製品は質が良いうえに、安くて素晴らしい」

以前なら考えられなかったことだ。

いまはコロナで見かけなくなったが、銀座などのショッピング街で重そうなスーツケースを押しながら中国人が日本製品を“爆買い”するさまは、バブルのころ、ヨーロッパに買い物ツアーに出かけていた日本人の姿をほうふつとさせた。観光地や温泉でも、外国人観光客は大きなお得意さまだ。日本の経済力が低下する一方で世界各国の経済力が上昇するに従い外国人観光客がかつての日本人と同じ振る舞いをするようになった。そして彼らの需要に依存しなければ、旅行業やホテル業、小売業などはやっていけなくなっている。コロナが落ち着けば、やがて世界の旅行者は戻ってくるだろう。だが、過ぎし日のバブルよろしく、日本人が外国に出かけて“爆買い”できる日が再び訪れることは、もうないのかもしれない。

立憲民主党の福山哲郎幹事長は国会の代表質問で、2012年の安倍内閣発足以来、1億円以上の資産を持つ世帯数は1.6倍、資産額は1.8倍に増えたのに対し、12年を100とした実質賃金は19年までに95.6まで下がり、2030代の貯蓄ゼロ世帯は2倍近くに増え、世帯消費は10近く下がっていると指摘した。
 かつて“1億総中流”といわれた日本だが、ここまで貧富の差が開いているのが現実だ。この格差を是正して全体の賃金を底上げし、消費を上げていかなければ、負のサイクルが終わることはないだろう。