オオムラサキを追って   (大学時代クラスメート 飯田武昭)

 

ここ兵庫県でも新型コロナ禍の緊急事態宣言が蔓延防止等重点措置に変わった6月21日の同じ週の25日と26日にかけて、県内の日本海側の豊岡市に急遽出かけました。

本州の中で南北に列島を縦断している県は、両端の青森県と山口県を除いて兵庫県だけのように思いますが、私の住んでいる南の宝塚市から北の豊岡市まではJR特急でも略3時間掛かる立派な旅行であることに時々気づく次第です。コロナ禍で県を跨いで移動することに宣言が外されたとは言え抵抗感がある中、県内である安心感がどこかにあったための急拵えのプランでした。目的は2日目の丹波市柏原にある「丹波の森公苑」のオオムラサキ(国蝶)のケージ内に6月一杯留められて飼育されている蝶々(成虫)をこの目で観察し確認することでした。

初日にJR豊岡駅で下車しタクシーで出石町へ。先ずは第1目的の出石皿そば店でランチを取る。出石町には約50軒の皿そば店があり、NETで人気一番のお店「近又」に早い時間帯で入店し久々に昼間とは言えビールの注文も出来て満足。出石町は小さい町ながら、日本最古級(明治14年)の時計台「辰鼓楼」(※)と近畿最古の芝居小屋「永楽館」(明治34年開館)、それに沢庵和尚ゆかりの「宗鏡寺」等の見どころがあり、それぞれをゆっくり見て回りました。出石町からはタクシーで城崎温泉まで約1時間で到着。がらがらの温泉街を翌日ゆっくり散策して昼前に再びJR特急で丹波市柏原駅へ向かいました。

(※)札幌の時計台と数カ月違いで札幌の方が早かった事実を最近になって調べ上げたことが先月NHKニュースで流されました。

「丹波の森公苑」のオオムラサキ飼育センターとの関りは、昨年8月の番組「NHK朝のおはようニッポン」を何の気なしに見ていた時に1分少々流されたニュースが気になって、その発信元を調べて辿り着き、10月に現地(兵庫県丹波市柏原)に出かけて詳しく内容を聞いたことから始まったもので、今回でやっと2回目の現地訪問でした。NHKニュースは、柏原からオオムラサキの卵をシェーンブルン動物園(ウイーン)へ送った分が、ウイーンで羽化して蝶々になったというただそれだけの内容でした。私はこのニュースを見て、柏原とシェーンブルン動物園という、どうにも考えにくい繋がりがどこにあるのかをどうしても確かめたく、昨年10月にやっとこさ現地を訪問して、先方から5人が出席してくれるミーティングが開けて、その関係が約30年前に遡って深い繋がりがあることを知った次第です。また何んとも不思議なことに、昨年のニュースを見た時に、私の数人のメール仲間にそのことをメールで流したところ、そのうちの一人のM君(私の昭和20年(終戦の年)卒園の幼稚園の同級生、東京都渋谷区の若葉会幼稚園)が “実は自分の祖父がオオムラサキの命名者だ”と言ってきて、その根拠となる資料を直ぐにメールで送ってきてくれた時には、そんな偶然ってあるのかと2度ビックリしました。