”政府対応” 記事について  (37 菅谷国雄)

新型コロナウイルスの来襲で世の中すっかりおかしくなってしまった。今まで経験したことがないウイルスの蔓延に、政府も慌てふためき、場当たり的な対応策に追われている。特に非常事態宣言と差し替えに出された「国民一人当たり10万円支給」の政策に、国会も満場一致、マスコミも異論を唱えず、国民は「早くよこせ」の大合唱である。当初案の「困窮者優先・30万円支給」はどこかに吹っ飛んでいる。お上が、国民に飴玉を与えてご機嫌を取る選挙目当ての政策に誰もが気付いていながら声を出す者が居ない。リーダーや国会議員を選ぶ選挙制度にも大いに問題がある。与党も野党もこの飴玉探しにやっきとなり、マスコミもこれを煽ることに終始している。世界的ポピュリズムの蔓延に、我が国の民主主義も危ない橋を渡ろうとしている。国民が国を信用しなければ、国も国民を信用しない。愚民政策は恐ろしいことだ。

明治の民主主義の揺籃期に、その困難さに気付いていたのは福澤諭吉であった。個人の自立、智徳の向上、国を支える気概なくして真の民主主義は育たない、デモクラシイーはそれぞれの心の内から崩れていく、このことに最初に気付いた思想家は福澤諭吉であったと、小林秀雄も「考えるヒント」に書いている。

今、もしこのコロナ禍に先生がご健在であったなら、時事新報にどんな社説を述べたのだろうか。

かってウィンストン・チャーチルは「民主主義は最悪の政治形態だ、ただしこれまで試されて来た全ての形態を別にすれば」と述べたが、コロナ後の世界がどの様な方向に進むのか、民主主義が危ない橋を渡ったその先を、誰が描くのだろうか。80歳の老人も刮目し黙っていることは許されない。

チャーチルの名言「現在我々は悪い時期を通過している。良くなるまでおそらく現在よりも悪くなるだろう。しかし忍耐し我慢しさえすれば、やがて良くなることを、我々は全く疑わない」、未だこうした希望を訴える国やリーダーが世界中に少しでも残っているなら、わが国も進んでその仲間に入りたいものだ。

改めて今の愚民政策憂うる!

10万円が出て、自粛中のパチンコ屋に行列が出来ないことを祈りつつ・・・  

(編集子注)ご指摘の問題点、このあたりは全く日本の政治の遅れとはいいませんが、何よりも不甲斐ない野党のために二大政党制が定着しないことが問題だと思うのですがいかが。このことだけについては、”ほかの国はできているのに日本は?”という感覚に賛成です。