エーガ愛好会 (216) ララミーから来た男  (34 小泉幾多郎)

アンソニー・マン監督がジェームス・スチュアート主演での傑作西部劇「ウイン
チェスター銃‘73」のヒットから、より娯楽性の強い「怒りの河」「裸の拍車」「遠い国」「ララミーから来た男」を連作した最後のコンビ作品。西部劇以外にも3本あり通算8作品。娯楽性と雖も、単純な善悪の戦いというよりも、この監督特有の骨肉の争いたる家族の愛憎と確執が顕在化している。偶々この映画のプログラムが出てきた。観た1955年4月と言えば、大学入学の年、ロードショー劇場だった有楽座で観ている。

ワイオミング州ララミーからニューメキシコ州のコロネードという小さな町へ荷物を運んできた男ウイル・ロックハート(ジェームス・スチュアート)が主人公だが、町を牛耳っている大牧場主アレック・ワーゴマン(ドナルド・クリップス)の息子デイヴ・ワーゴマン(アレックス・ニコル)と牧童頭ヴィック・ハンスポロ(アーサー・ケネディ)達に、牧場管轄内の塩田のことで因縁を付けられ酷い目に遭わされるところから始まる。主人公は単に荷物を届けるために来たのではなく、騎兵隊だった弟がアパッチ族に襲撃され 死んだが、どうやらアパッチ族に高性能の銃を売りつけた白人がいた筈とあたりをつけてやって来たのだ。弟の仇を探しながら牧場主の姪のバーバラ・ワーゴマン(キャシー・オドンネル)との恋、その牧場主と対立するハーフムーン牧場の女性牧場主ケイト・キャナディ(アリーン・マクマホン)との牧場主同志 の愛が育まれる。

ニューメキシコのロケーションを活かした撮影はなかなか良く、牛に囲まれた殴り合い、岩山でのアクション等々、動的シーンに趣向を凝らす。仇を探求するウイルが息子デイヴや牧童頭ヴィックと対決するうちに、ウイルに手の甲を撃たれたデイヴが、逆にウイルをひっ捕らえ、至近距離で手の甲をぶち抜くといったえげつない暴力連鎖のうちに、アパッチ族に高性能連発銃を売りつけたのがヴィックであることを突き止める。しかし復讐に燃える男とその仇という明確な二者が対立するというより大牧場主一家の対立が本作の骨子で、失明まじかの牧場主が虚栄心に狂ったボンクラ息子と牧場主から信頼され息子の面倒を任された牧童頭との後継者争いを巡る確執の顕在化により家族の崩壊へと進んで行くドラマが中心になっている。連発銃に絡みヴィックがデイヴを殺してしまう。ウイルはヴィックを連発銃の隠し場所の山の頂に追い詰め、崖から銃と弾薬を落下爆破させ、ヴィックは約束を破られたと怒ったアパッチ族に殺されてしまうのだった。大牧場主一家の愛憎ドラマも中心人物が、芸達者を揃えただけでなく、西部の大地がさわやかに描かれていただけにJ・スチュアートの人柄もあり、後味は悪くはなかった。

ララミーLaramie)は、アメリカ合衆国ワイオミング州の都市であり、オールバニ郡郡庁所在地である。2010年国勢調査で、人口は30,816人だった[1]。ワイオミング州南東部のララミー川沿いにあり、州都シャイアンの西、州間高速道路80号線アメリカ国道287号線が交差するところにある。

ララミーは19世紀半ばにそこでララミー川を横切ったユニオン・パシフィック鉄道沿線に開拓された。ワイオミング大学、ワイオミング工科大学およびララミー郡コミュニティカレッジ支部が本拠を構えている。ララミー地域空港が利用可能である。ララミー市ができる以前から存在した陸軍のサンダース砦の廃墟が国道287号線沿い、ララミー市の真南にある。

(編集子)コロラド州にあったHPの事業部を訪問した後、山好きだった当時の社長のお供でワイオミングを縦断してグランド・ティトン(”シェーン” の有名なラストシーンに現れる名峰)の眺望を誇る場所まで行ったことがある.途中で、(ははあ、これがララミーかあ)と思いながら、時間の関係もあってコーヒースタンドに寄っただけで通過してしまった。社長を騙してもう少し時間を過ごすべきだった。セーブゲキファンの流れで言えば、いわば聖地であるツームストンへの訪問はどうも実現できそうにない(ノルマンディのオマハビーチとともに心残りである)が、せめてもの慰めはジョン・フォードの数々の名作の場になったモニュメントヴァレーはその一角で宿泊もし、堪能できたし、アイダホの工場を訪問したときは近くにオレゴンとレイルのふみあとが保存されていたので出かけてみたことが思い出される。いろんな作品に登場するサンタフェはむしろ芸術家たちのたまり場みたいな街になっていて、大分違ったイメージだった。赤い河のテーマになっているアビリーンなんかはどんなだろうか。