エーガ愛好会 (205) 不死身の保安官   (34 小泉幾多郎)

 西部劇の巨匠とも言えるラオール・ウオルシュ監督の、晩年に遺作「遠い喇叭1963 」の一つ前の1959年の作品。それは英国の名優ケネス・モアと相手役にあのモンローに匹敵するブロンドのセックスシンボルたるジェーン・マンスフィールドを配し、英米合作のウエスタンコメディを制作したとは珍しい。初めてスペインでロケされたウエスタンとも言われている。

冒頭タイトルバックに流れる歌 In The Valley of Lord(谷あいの心のワルツ)は、マンスフィールドが、画中、谷あいの小道を馬車で走る際にも唄われる。マンスフィールドの歌は他に酒場等で Strolling Round The Lane With Hill や If The Sun Francisco Hills Could Only Talk を唄うが、全てコニー・フランシスが代って唄っていい味を出してミュージカル的味わいも加味されている。

英国からアメリカ西部へ銃を売り込もうと駅馬車で西部へ向かう途中、インディアンに襲われるが何の知識もないまま酋長と判りあったりして仲良くなり、町民に英雄として迎え入れられたり、手首にデリンジャー型の計器を装置していたことが悪漢には剛腕の早撃ちに見られたりして保安官に祭り上げられる要因となる。英国人として何も知らないことが全てに良い方向に進むのだった。最後は牧場同志Lazy SとBox Tの対立もインディアンとの対立もすべて解決。こんなことは有り得ない筈だが、争いごと解決の理想形。他愛ないと言えばそれまでだが、職人技に徹し、肩肘張らず名人芸を見せつけられたと思えばそれで満足。英国紳士と酒場女でありホテル経営者とは、めでたく結婚。新郎の横には、親戚代表?インディアン酋長が。新婚旅行の馬車に矢が突き刺さる。矢に付けられた革の手紙を開けるとThe Endとは、最後まで他愛ない。

(飯田)さて、私もBSシネマで「不死身の保安官」を観ました。
この映画は制作当時、日本で劇場公開されていないことを観終わったあとに
知りました。小泉さんの名解説・コメントにあるように、気楽に楽しめるコメディ・タッチの西部劇で異色でした。私のような年齢になると、気楽に鑑賞できる楽しい映画に出くわすとそれだけで嬉しいものです。

主演の一人、ジェーン・マンスフィールドですが、彼女の名前は何故か有名ですが出演映画が意外に少なかったことを今回、改めて気づきました。
「女はそれを我慢できない」(1956年)の後に、この「不死身の保安官」(1958年)があるくらいで、他の数本はタイトルからして劇場で観たのか、観ていないのか、分らないような2~3流映画の気がします。

彼女が有名になったのは、ケネディ大統領の弟のロバート・ケネディ(当時の司法長官)と深い仲だったとスキャンダルが報じられて、むしろそちらで有名になったのか?と思っています。「女はそれを我慢できない」はトム・イーウエル(「七年目の浮気」でマリリン・モンローの相手役をやった、可笑しな演技をする俳優)との共演で、私は近年も度々観ています。

(保屋野)私も観ました。お二人の名解説に付け加えることはありません。まあまあ楽しいB級西部劇ですね。それと、私は、何でこんな映画にM・モンローが出てるのか不思議でしたが、このソックリさんはJ・マンスフィールドでした。

もちろん、モンローには適わないでしょうが、歌(本人が歌ったどうか分りませんが)を含めて中々魅力的でした。

(船津)確かに娯楽超大作ですね。面白い・可愛い。まるでウクライナ問題を茶化しているみたいですね。原住民の矢でロシアも停戦してくれると良いのですがね。

(編集子)ラオール・ウオルシュの西部劇、という先入観を払拭するのにだいぶ時間がかかった。ケネス・モアと言えば小生がお目にかかった作品は ”ビスマルク号を撃沈せよ” ”史上最大の作戦” ”空軍大戦略” とすべて第二次大戦ものばかりで、あのおっさんがセーブゲキか、という興味が先だった。マンスフィールドの映画はほかには1本も見ていない。ワイフの卒業論文がキャサリン・マンスフィールドだったが、何度も言い間違えて怒られた。無理もなかったと思うんだが。

エーガとは無関係だが、飯田兄のコメントにあるボブ・ケネディが暗殺された日、小生はシリコンバレーに居合わせて、言いようのない気もちになったことを思いだした。それにしても大統領兄弟そろってグラマー女優とのスキャンダルてえのは呆れるべきか、馬鹿にしたもんか、うらやむべきか、これも難しい。もっともこの国の兄貴分英国では皇太子がそうだもんな。皇女がスケコマシと駆け落ちするどっかの国なんか、平和といえば平和だわな。どうせならローマの休日風に落ち着けば万々歳だったはずなのに。しかしこういう場合、ご本人たちを密会の場所まで運んだ運転手とか、警護官なんかは口止め料をもらうんだろうか?