フランスで考えるウクライナ戦争  (在パリ友人 平井愛子)

(編集子)エーガ愛好会のネットでたびたびパリや近郊のニュースなどを届けていただいているパリ在住の平井愛子さんに、昨今のウクライナ戦役に関してフランスでの受け止めについて話を伺うことにした。平井さんからのメールを転載する。欧州でのロシア、という国に関する複雑な感情や歴史の積み重ねが日本では想像できない次元だという事を改めて感じる。
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私はジャーナリストではありませんので、フランスの一般市民を代弁するような事はお伝えできませんが、私の聞くニュ-ス、読む新聞、友人との会話の中で、肌に感ずることを率直に申し上げます。
ウクライナとロシアの戦争については本当に心に痛みを感じております。特にアメリカ、ドイツ、イギリスなどが最新の戦車をウクライナに供給するというニュ-スは絶望的です。なぜこのようなバカなことをするのでしょうか。怒りを感じております。
心あるフランス人達は、このウクライナは全くアメリカの代理戦争と化して、アメリカの目的は只々プーチンのロシアの弱体化を図る目的で、これによってヨーロッパはアメリカと一緒にこの戦争に介入することは、ヨーロッパそのものを重大な損害を被る状況に追いやるものである、と理解しています。
私の親友ドリスはドイツ人ですが、ショルツ首相が14基の戦車をウクライナに供給するというニュ-スにドイツ人であることが恥ずかしい、ドイツではこれに反対する市民のデモがあるようだから、参加したいと言っていました。
フィガロやル・モンドでは、フランスは戦車の供給には大いに躊躇をしており、フランス軍の中枢がこれに賛成していないと報道しています。フランスは30年前から国防費を削って武器廃絶へ向けて政治を行っており、現在のヨーロッパの中では、強力な軍隊を持っていますが、実際のところ、もし戦争になったら、国境線80kmしか防げず、総力で戦って15日間しかもたないであろう、フランスには400の戦車があり、その半分が稼働可能で、後は格納庫のなかで、稼働可能な200のウチ60%は即戦できるが、後は準備が必要だ という記事を読みました。でもどんなに頑張っても一辺に2000の戦車を並べられるロシアには負ける と書いてありました。
テレビのニュ-ス報道は当初と随分違ってきています。BMFTVで、先日、ゼレンスキ-の側近のひどい汚職が明らかになり、主要人物が国外追放、更迭されたりしたことも報道され、ゼレンスキ-の政治能力について疑問視することもあからさまに言われるようになりつつあります。
Arno Klarsfeldというフランスで有名な弁護士ですが、サルコジ-の時に大統領の特別ミッションも多く請け負っていた人ですが、この人が戦争即時停止のPetitions(陳情書)を広く集め始めました。彼はアシュケナ-ジの出です。1月27日はアウシュビッツ解放の記念日で、毎年現地のアウシュビッツで記念セレモ二-が行われ、1945年1月27日に、このアウシュビッツはソ連赤軍によって解放されたので、必ずロシアはこのセレモ二-に招かれ参加していたのだそうですが、今年は呼ばれなかったそうです。クラスフェルドは、こういう風にロシアをのけ者にするのは残念だ。ロシアはユダヤ人を救ったが、ウクライナはユダヤ人を抹殺したナチスと結託した政治体制があったところだ、ウクライナはOTANではないし、EUは平和と反ナチズムの目的で作られたのに、ヨーロッパ自らが第二次世界大戦後、最大の危機に突入することは馬鹿げている、ウクライナはロシアには勝てない、兎も角不毛の戦争を止めて交渉のテーブルに先ず着くことが大事である。バイデンとプーチンの個人的戦争に巻き込まれることは本当に馬鹿げているし、これほど危険なことはない というものです。
私も彼に意見に賛成です。
大変言葉が足りないのですが、取りあえず思うところをそのままにお伝えいたします。